まずは少々、お堅い話になりますが……。
 福島の事故以来、疑問が湧いている人は多いはず。
「原発は安全なんだ、人類は原子力を完全にコントロールしているのだ」と思ってきたが、それは、そう「思わされてきた」のではないか? という疑問だ。
 「あたりまえだと思っているが、実はそうではないのでは?」という疑問は、他にもたくさんあるように思う。
 そのひとつに「脳死」がある。
 なんだか、いつのまにか法律になってしまっているが、充分に議論されているのだろうか? 普通に考えて、心臓がまだ動いているのに、それを「死」と呼んで良いのだろうか?
 などと書くと、たぶん多くの人が「いまさら何を言っているの?」「脳死が人の死であることは、医者も保証し、だからこそ法律で決まったんじゃないの?」と思うに違いない。
 が……、ほんとうに「当たり前」なのか? いつのまにか医学と政治の名のもとに「自明の理」と思わされているのではないだろうか?

 そういう疑問から生まれたのが本作の企画である。
 うだ話から出発し、台本になるまで2年を要した。
 お堅い話から入らせていただいたが、本編では意外にも大いに笑っていただけるはず。
 そう、これはあくまでエンターテインメントなお芝居です。
 しかし、観劇後には、生命の不思議を感じ、命とは何ぞや?ということを考えさせられ、そして、「脳死」と「臓器移植」について改めて考えてみたりするアナタがそこにいたりするかもしれない。

 見応えのある作品になる予感がしています。ぜひ劇場にお運びくださいませ。