こんなに汚れた話になってしまいましたが……
  
——三菜子の恋人の菅原(永二)さんはいかがでしょう?
山内
 永二ね……彼も相当な職人ですよ。ただ、最初の通し稽古のダメ出しのほとんどが「声が小さい」(一同笑)。さすがに笑いましたけど(笑)。
片桐
 G2さんとのやりとりが、なんかちょっと親子ゲンカみたいになるんですよね。「思春期か!」っていうぐらい青い感じをG2さんに対して出すんですよね(一同笑)。ボソボソなんか言ってるし。
山内
 永二って、意外と自分で腑に落ちないと、でけへん人なんやな。
片桐
 ああ、そうですね。
山内
 とりあえずやったらええやん、っていうのが、でけへんねん。
久ヶ沢
 それは生き方にも出てるよね。
片桐
 気い使いぃですしね。やっぱり真面目なんですね。
山内
 真面目やねん。それを見ても、自分は汚れたなって思うわ。
  
——そして一朋を追いかける刑事が中川(智明)さん。
山内
 やりなれてる人たちの中に入ってきてやるプレッシャーは、相当でしょうね。
片桐
 そうですね。プレッシャーはあるでしょうね。
  
山内
 だから「好きに演ったらええやん」って言うてたら、ぜんぜん違う方向に行って、「違う違う違う」って引き戻されて。ごっつエネルギーを、みんなと違うところで使ってるんでしょうね。それを見て、自分も若いころ、こんなんやったなー、あーあ、年とったな、汚れたなーって(一同笑)。
片桐
 全部、そこだ(笑)。そんなに年とってないですけどね。まわりが若くなっていきますからね。パンフのインタビューで、「去年、若手じゃないことを実感した」っていう話をしたんですけど……
久ヶ沢
 去年?
片桐
 そう。ああ、もうオレ、若くないんだなって。下のほうが多かったりするから。今回のはいいんですけど。
久ヶ沢
 ああ、座組で年齢がね。
山内
 でもさ、30代中盤ぐらいまで、若手って言われたりするやろ。それから急に、やろ? あれ、なんやろな?
片桐
 そう、急に、なんですよね。でも、山内さんは作・演出をするようになったのが30代半ばでしょ。それをきっかけに若手じゃなくなった感じはしますね。
  
——では、最後に見に来られる方にメッセージを。
山内
 題材は、それこそ高齢化社会とか同じレベルのことで、決して重い話ではないんですよ。そういう目で見たほうが、この芝居は楽しめると思います。
片桐
 笑っちゃいけないのかな、っていう引っかかりがある人もいると思うのですが……
山内
 いや、こんなもん笑わなやってられへんがな。まず、笑うところから始めてもらえば、ええんちゃうかなと思うんです。
片桐
 ホントそうなんですよね。
  
久ヶ沢
 G2プロデュース最終公演にふさわしい芝居になりましたね。お客様にがっつり正面から受け止めていただきたいなと思いますね。
山内
 なんでこの問題を取り上げるんですか、っていう質問がキャストからもスタッフからもG2さんにあったと思うんですけど、たぶん、ふたをしてもしょうがないし、それで物語をつくることに大きな意味もないし、だったらつくっちゃえばいい。そういう意味で、最終公演にG2がこれを当ててくるというのは、屁をかまして逃げよったな、って(一同笑)。
久ヶ沢
 正義感をふりかざしてないところがいいんだよね。なんかその味つけのひとつとして問題を探してたら、これに行き当たって、勉強したら、ものすごく怖くなってきて、書かずにいられなくなって、自分でも持て余してる感があるのが、おもしれーなって思うんですよ。これを予定調和的にやられると、なんじゃそれ、ってなるんだけど、きれいにまとめずに、やりたいことを勢いのあるままやってるのは、おもしろいですね。
山内
 うこ、流さんと出て行った(一同爆笑)
片桐
 おならの表現で止めておけばよかったのに(笑)。
山内
 うわ、でっかいうこ、流してないやん、誰やねん!(一同笑いが止まらない)