1. 豪華な作家陣をくどいた理由と思惑
久ヶ沢
8月27日です。本多劇場に「その週になんかやらせてもらえませんか?って頼んだんですけどそこは都合付かず、でもこれ(9月5日から9日という公演日)は50歳になってからなので、それもいいかなって……
久ヶ沢
正式に本多さんにお話させていただいのが2年以上前ですね。こんなこと考えてるんですって言ったら、「おもしろそうじゃないですか」って言っていただけて。最初は軽い気持ちで考えてたんですけど、実際やるとなると大変で(笑)駅前(劇場)さんでは自分たちだけでやらせて頂いた事があったんですけど、その感覚でやってたら、あれ、おかしいな、と、んん?んんん?と……ちょっよく分ってませんでした(笑)。ホントみなさんにお世話になりっぱなしで、感謝感激です。
久ヶ沢
基本的に、僕が今までにお仕事させていただいた人とやらせていただこうと思ったんです。まったく個人的な企画ですし、色々なことを、いろーーーんなことを考えると、やはり、作家の皆さんのお名前で「これ行きたいわー!」と強く思って頂こうと(笑)。今回書いてくださるみなさんは、そんな僕の思惑をまったく知らず、快く二つ返事で受けていただいたので、本当にありがたいことです!
――久ヶ沢さんから見たそれぞれの作家さんを紹介してください。
久ヶ沢
岩井(秀人)くんは、独特な感性を持っていて、彼ならではのおもしろさを醸し出してるんです。ついこの前、第30回向田邦子賞を受賞しました。歴代、名だたる方々(市川森一、山田太一、野沢尚、倉本聰、遊川和彦、井上由美子、宮藤官九郎などなど)が受賞されている賞なんですが、その受賞されたドラマの脚本(
『生むと生まれるそれからのこと』)も、彼のほかのお芝居も、人間の、偏屈というか、個性的なところを切り取って描き出しているところがすごくおもしろい。G2さんとキッチュさん(松尾貴史)がやってたAGAPE storeの
『残念なお知らせ』で、僕は初めて彼とご一緒したんです。かつて引きこもりだったという個性的な人で、そのときの役者としての岩井くんの芝居のつくり方と言うか、ディテールの取り方がすごくおもしろかったんです。それからハイバイを見にいかせていただいたんですが、おもしろい!それで、ぜひ書いていただきたいなと思ったんです。
久ヶ沢
川尻恵太くんは、もともと北海道で芝居をやってたんです。小林賢太郎くんが北海道ツアーに行ったりしたときに、彼がお手伝いをしてて、小林くんが「なかなかおもしろいから、君は東京へ出てきたほうがいいんじゃないか」と。それで上京し、賢太郎くんのアシスタントもしたりしていて、僕が賢太郎くんの芝居に参加したときに知り合ったんです。彼も劇団(SUGARBOY)を主宰してるんですけど、その芝居でも、飲んで話してるときなんかでも、笑いの視点が、僕が思いつかないような視点で、おもしろいんです。刺身をね、「この死んだ魚、うめえなー」とか(笑)。色んな事で、僕が絶対しないような切り口で来るんです。それがおもしろいなと思ってて、今回、声をかけたんです。
久ヶ沢
ケラさんがコメディーをがんがん押し出す劇団をされていたころから観てて、まーーー好きでしたからねー(笑)。以前、ナイロン100℃さんから、2度ほど客演のお話をいただいた事があったんですが、残念ながらいずれも都合が合わなかったんです。でも、いつかは出演させて頂きたと思い、懲りずにまた声をかけて下さいと陳情してたんです。で、ケラさんお忙しいけれど、野間口(徹)くんとか竹井(亮介)くんや嶋村(太一)さんがやってる「親族代表」にコントを書いたりもしてるので、どうかなーって思って、今回思い切ってお願いしたら「お、いいよ」とあっさり言ってくれたから、ありがたかったですね。
久ヶ沢
そうですね。ここ最近、いちばんよくやってる作家さんですね。賢太郎くんには、絶大な信頼がありますし、僕も彼の笑いが好きですから。この話(公演)も実は、もともと賢太郎くんが「書きますよ」って言ってくれたところから始まったので……
久ヶ沢
はい。「ロールシャッハ」という芝居をやってるときに、「50周年記念でなんか、やるかなー」って冗談で言ってたら、「僕、書きますよ。書かしてくださいよ」って言ってくれて。「あ、そうなの? じゃあ、これはイケるんじゃないの」って、ふくらんでいったんです。
久ヶ沢
G2さんは、僕が、お客さんの笑い声のデシベルの大きさしか信用しない、やさぐれた役者だったころから(笑)、「そうじゃなくて」と包み込むように導いてくれて、僕を役者として成長させてくれた、たいへん恩義のある方なので、こういうときにはぜひお願いをして、また、おんぶにだっこでいこうと(一同爆笑)。