▼#1
いざシカゴへ!
▼#2
シカゴ乗り物三昧
▼#3
ライト・イン・ザ・ピアッツア!
▼#4
ニューヨーク上空380m
▼#5
中村座N.Y.公演
▼#6
怒濤の17時間
▼#7
思いをめぐらせて
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いやー、ごめんなさい。
二週間のご無沙汰です。先週は『憑神』の舞台稽古のために書く時間が取れませんでした。すんません。けど、この連載を休むくらいに没頭させていただいたおかげで『憑神』面白く出来上がりましたよ。私としても『魔界転生』よりもずっとG2色を出せたというか、2年目にしてやっと演舞場という空間を好きなとおりに演出できたというか。『ジェイルブレイカーズ』や『地獄八景・・浮世百景』『東京タワー』を御覧になって「面白いっ!」と思われた方は必ず『憑神』もきっと気に入っていただけるはず。ちと入場料が高いですけれど、その分は見応えでお返しします。
あと、演舞場ではアンケートを取っていないので、感想などこちらまでお寄せください。ブログで書かれた方はお知らせください。
と、前置きが長くなりました。
さて、前回に出したクイズの答えから。
ビルの外から中にかけての長蛇の列。2時間に及ぶ行列は……(ドラムーロール決まって)エンパイア・ステート・ビルの展望台に登る人たちなのでした。

そうなのです。恥ずかしながらこの私、この年齢で始めてエンパイア・ステート・ビルに登る決意をしたのです。『東京タワー』を見てはじめて「東京タワー」に登った人も多いと聞きますが、あれに似てますねー。似てないか。
それにしても70年代まで世界一を誇った高さとはいえ、2時間も並んで、2千円近い金を取るとは言語道断。と最初は思っていましたが、なんのなんの、展望台からの眺めは「どひゃーっ」の一語です。

まるでヘリコプターに乗ってNYの空に乗り出したかのような錯覚に襲われます。真下に見える道路を走るイエローキャブがありんこのよう。
なかなかの絶景にため息。下から眺めると、そんなに突出したビルには見えなかったのですが、登ってみると、ぐるりを取り囲む他のビルは遥か真下。
それから、イヤホーンガイドみたいなサービスがあるんですが、これが結構面白い。単なる風景の解説に留まらず、NYの歴史や民族的な問題や、なぜここまで繁栄したか、などなど、大人が聞いて大満足の内容です。もちろん日本語でも聞けるので、受け取り窓口で「ジャパニーズ」とはっきり言ってください。日本語で聞けるように機械を調整してくれます。
その説明を聞きながら眼下の写真を撮ったのですが、残念ながらどれがなんのビルだったか全く憶えていません。メモしておけばよかった。(ま、スタッフが調べてくれるだろ) ※調べました……。
エンパイアから北方面を望む
真ん中よりやや右を走ってる通りが五番街。
正面奥に見える黄土色のGEビルのあたりが
ロックフェラーセンター。
その奥にチラリと見えている緑の部分がセントラルパーク。
手前のベージュの建物がニューヨーク市立図書館。

エンパイアのやや北西にはタイムズスクエアのあるエリアが

ぐいっと東のほうに目をむけると
イーストリバー、そのむこうのクイーンズ地区。
白いとんがったビルがクライスラービル。
中州みたいなのがルーズベルト島
それをまたいでいる橋はクイーンズボロブリッジ。

エンパイアから南東方向。ダウンタウン方向ですね。
この写真で見えてるのは住宅街のグラマシー地区に、
様々な人種の人が集まるイーストヴィレッジあたり。
遠くに見えるのはウィリアムスバーグブリッジ
そして南
ソーホーやリトル・イタリーはこちら。
遠くに見えているビル群があの有名なウォール街。
ちょっと拡大したのはこちら
その右あたりに自由の女神が見えるんだけどわかります?
これはビルの屋上につけられた鉄塔です。102階までが381メートル。この鉄塔を足すと443メートルという高さ。かつては、ここに飛行船が係留されたらしい。今はテレビ・ラジオ用の電波塔です。
このエンパイア・ステート・ビル見学、お金に余裕がある人は五千円ほど出せば、ほとんど並ばずに展望台まで行けることができます。曰く「エクスプレスチケット」なんのことはない、上まで登るエレベーターに横入りできるシステム。時間の無い人はこれを利用してはいかが?
ネットで事前に買ってあれば、もっと並ばなくてすみます。
あと、展望台は、86階と、102階の二つあります。もちろん最上階は102階なんですが、86階とさほど景色はかわらぬ上に、86階は表に出られるために醍醐味がぜんぜん違う。102階に行かなければもっと安いチケットもあるので、それをお勧めします。
エンパイア・ステート・ビルを出て、夜までは、NYの町をぶらぶら。
いや、懐かしい五番街、ブロードウェイ、こじゃれた雑貨街になったリトル・イタリー、安心して乗れるようになった地下鉄。
なにしろNYは18年ぶり。
映画でいうと「ゴーストバスターズ2」が公開、ブロードウェイは「オペラ座の怪人」が評判になった時でした。
ソーホーはまだ芸術家の町だったし、リトル・イタリーは歩くのに勇気のいるところでした。昼間ならハーレムを歩いても大丈夫になったばかり、地下鉄はまだ乗らないほうが良いし、汚い。タクシーも汚かった。
そう考えると、やはり18年という年月は流れているなー。と歩きながらしみじみ思う。
「しかし、なぜ、あれから一度もここに来なかったのか?」
考えてみると不思議ではあります。ロス方面にはもっと行ってるのに。
ロンドンも二度行ったのに。演劇をやっている人間でありながら、ブロードウェイに一度しか行ったことが無いっていうのはどういうことか。
しかも、その時見たのは、黒人によるタップショーでした。音楽に興味はあってもミュージカルに興味が無かった。むしろわざわざ日本でも見られる映画を映画館に観に行ったりした。
今まで来なかった理由は……たぶん、前回来たときに満足しきってしまったのだろうと思う。堪能しつくしたのだ。
あと、その当時の同じ旅で訪れたニューオリンズの方に惹かれたというのもある。(が、ニューオリンズもその後行ってない。こっちは行くのが大変だということもある)
ソーホーの芸術家のホームパーティに誘われ、健在だったツインタワービルの地下でエクゼクティブ・ビジネスマンを取材し、拳銃を忍ばせたボディガードとタクシーに乗り、なぜか韓国料理に舌鼓し、ホテルの黒人のバーテンに「あんたねえ、ジャック・ダニエルはバーボンじゃねえぜ、あれはテネシー・ウィスキーだぜ」と教えられ、そのジャックがスーパーで日本の十分の一ほどの値段で売られていることに驚愕し(当時は日本の酒税法が健在)、ハーレムはアポロシアターのアマチュアナイトにモハメッド・アリが乱入したところを目撃……と、とにかくNYを堪能したのと、あと、NYは二十代にこそ行くべき町で大人になってから行くべき町ではない。と思ったゆえの18年間のブランクでした。
では、なぜそのニューヨークに今、来たのか?
それは、こういうワケです。 
ジャジャーン! 見よ。この看板を。
そう、勘三郎さんの平成中村座のNY公演を観に来たのであります。
だってねえ、橋之助さんに「観においでよ」と言われちゃったし、前から見たかったし、シカゴ行くついでもあるし。と三拍子揃っちゃったらねえ。行かないわけには行かない。(どっちだ? 日本語は難しい)
そんなわけで、次回は平成中村座NY公演、千秋楽の模様をお伝えします。
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【キーワード】
『憑神』
新橋演舞場にて好評公演中!
中村橋之助×G2の挑戦、第一弾!
『魔界転生』
松岡昌宏主演の痛快ロック活劇!
『ジェイルブレイカーズ』
いっぱい笑えてホロリと泣ける落語のお芝居決定版
『地獄八景‥浮世百景』
あのベストセラーを新たな切り口で描いた舞台版!
『東京タワー』
エンパイアステートビル
地上102階、高さ443.2m。1931年完成。1973年にワールドトレードセンタービルが完成するまで世界一の高さを誇っていました。
「エンパイア・ステート」とはニューヨーク州の愛称だそうです。
ちなみに、現在世界一の高さを誇るビルは台湾にある台北国際金融大楼だそうです。高さ508m。
五番街
マンハッタンを南北に貫く大通りフィフス・アベニュー(五番街)40〜60丁目あたりの、ティファニーをはじめとする一流ブティックが数多く集まる高級ショッピングエリアを指す。
ロックフェラーセンター
いくつものビルが集まった商業エリア。
その中央の広場では、冬になるとスケートリンクや巨大なクリスマスツリーが公開されるのが有名。
セントラルパーク
いろんな人がマラソンしてるイメージがあります。
ニューヨーク市立図書館
1911年設立、蔵書460万冊。アメリカを代表する図書館のひとつ。
映画『デイ・アフター・トゥモロウ』
ではここの本をいっぱい燃やしてました。
タイムズスクエア
ブロードウェイミュージカルの中心地。毎年大晦日のカウントダウンをテレビでご覧になってる方も多いのでは。
新宿のではありません。
クライスラービル
アール・デコ様式の装飾が美しい高層ビル。その名の通り、もともは自動車メーカークライスラーのビルでした。
ソーホー
Small Office Home OfficeのSOHOとは別物。語源は、ハウストン通り(Houston Street)の南側に位置する地区(South of Houston Street)という意味だそうです。
芸術家が多く住む町として広く知られています。
リトル・イタリー
イタリア系住民が多く住む地区。
ウォール街
各国の金融機関が集った世界金融の中心地のひとつ。
ゴーストバスターズ2
映画『ゴーストバスターズ』の舞台もここニューヨーク。『1』ではマシュマロマンがビルをよじ登り、『2』では自由の女神が街を歩いてました。現在、『3』の製作が始まってるそうです。今度はCGアニメなんだとか。
オペラ座の怪人
原作は1910年にガストン・ルルーが発表した小説。数えきれないほどの舞台化、映画化がされています。
ツインタワー
ワールドトレードセンターのシンボル的な2つ高層ビル。2001年9月11日のテロにて崩壊。
アマチュアナイト
歌手やダンサー、コメディアンらが明日の成功を夢見てパフォーマンスを披露する若手の登竜門的ステージ。審査は観客全員の拍手。勝ち進むことで月間、年間のチャンピオン大会へと続いていく。
マイケルジャクソンもこのステージに立ったそうです。 |