▼#1
いざシカゴへ!
▼#2
シカゴ乗り物三昧
▼#3
ライト・イン・ザ・ピアッツア!
▼#4
ニューヨーク上空380m
▼#5
中村座N.Y.公演
▼#6
怒濤の17時間
▼#7
思いをめぐらせて |

やんややんやの大喝采。『東京タワー』大阪公演初日は、全席スタンディングオベーションの大盛り上がりのカーテンコールで幕を閉じた。
「東京」という言葉がついているだけで大阪の人は斜に構えてしまうのではないかという私の心配は杞憂に終わった。
「これで、安心して行ってこられますよ」と加賀まりこさんの楽屋にてご挨拶。「思いっきり楽しんでらっしゃい」と、加賀さんからは優しいお言葉と、お見立ての帽子を餞別に頂いた。
そういうわけで突然のアメリカ旅行なのである。
「東京タワー」大阪初日が開けた翌日に出発、1週間後の新潟での大千秋楽に滑り込みで戻ってくるというスケジュール。
さて、そんな間隙を縫ってまでなぜこの時期にアメリカへ行かねば成らぬのか?
それには、それなりの理由がいくつかあるのだが、それを最初に書いてしまうとネタバレなので、今はちょいと隠させてもらいやす。読み進んでいただければおのずと分かるという仕掛け。ご興味の或る方もない方も、まあ、よければ駄文にお付き合いください。
翌日、私はユナイテッド航空の直行便で北米大陸へと飛ぶ。目的地はシカゴ。もちろん初めての土地である。
『シカゴ』というタイトルのミュージカルを前回のロンドン日記で紹介したけれども、もちろん、それとは全く関係がない。けれど、ちょっとばかりミュージカル繋がり。そんなワケアリで、シカゴへと飛んでいるのだが、さて初体験のユナイテッド航空での太平洋横断。ここで閉口したのが、機内での映画放送。なんと字幕が中国語。なんで? 成田発の飛行機なのに? 結局往路の機内では映画は諦めることに。ちなみに復路もユナイテッドだけれど、ANAとの提携で機体はANAだったので、映画は楽しめた。そしてANAの機内料理は凄いっ! 初めてだったけれど、JALを大きく凌駕する内容。なにしろ鰻丼が出たんだもの。それだけではない。サイドディッシュも豪華でテーブルは華やかそのもの。ちょいとした幸せを味わった。
が、往路はユナイテッドの機内。アメリカの航空会社のキャビン・アテンダントって、必ず一人は英語が不自由な客に対して冷たい人がいるのよね。今回もやっぱりいて、食事の時にも、「chicken or beef?」さえ聞いてくれないのがいた。どうせ聞いてもわからぬのだろう? とばかりに、聞きもせずにビーフを出された。チキンが切れたのであろうけど、せめてそれをエクスキューズするくらいして欲しい。ま、ビーフは美味かったんだけれどね。
でも、二回目の「夜食」。これは凄かった。「きつねラーメン」だった。おのれっ! 日本人を愚弄するかっ! と思ったけれど、これがチープな味でよかった。そして三度目の「朝食」。これはもう、いかにもアメリカの朝ご飯って感じで、オムレツとソーセージだけ。パンもついてないのね。「ああ、いよいよ私は、あの食に不自由な国、アメリカへ行くのだなあ」という感慨が、陸地に降り立つ前からこみ上げてくるのだった。

12時間の空の旅を終えて、降り立ったのはオヘア空港。シカゴって北米の東側の重要拠点っていうこともあって、下手すると成田よりもでかい。成田が2つのターミナルを持っているのに対して、こちらは3つのターミナル。そのターミナルを繋ぐ鉄道も走る。その車窓から空港の大きさを撮影しようとしたが、あまりいいアングルが無く残念。

「車で20分くらいだから、シカゴ市内へはタクシーで行け」というのがウチのスタッフからの指示。えー? 旅にタクシーを使う? バカ言っちゃあいけません。そんなつまらない旅はごめんとばかり、指示を無視して、ブルーライン(地下鉄)で市内に出ようと試みるが……
「ロンドン日記」をお読みになっていただいた方はご存じでしょうが、この手の試みが成功したためしがない。またも波瀾万丈な、笑うしかない旅が始まるのでした。 
まずは切符購入からつまづく。システムが分からなくてもお金を入れてみたら画面で誘導してくれたのがロンドンの地下鉄。が、シカゴの地下鉄はそうは行かなかった。まずは20ドル札を入れて、自販機の反応を見ると、続ける? キャンセルする? の二つの選択肢。「続ける」というボタンを押したら、なんと20ドル分のフリーチケットが出てきた。選択肢が少なすぎる。「出たっ! お釣り文化のないアメリカっ!」だって、20ドル分って、7日間のフリーパスポートでした。一泊しかしないのに。後で調べたら、5ドルで一日乗り放題だから、ここですでに15ドルの損失。

めげずに地下鉄の車内へ。この時点でお昼過ぎ。20時までは自由時間だから、ホテルのチェックインまでに、シカゴ美術館でも行こう。ホテルと美術館はそう遠くなく、美術館までは30分くらいで着くはずだ。
地下鉄はほどなく、地上へ。幹線道路の間に挟まれて、地上を走る地下鉄。景色が見えるぶん気持ちがいい。のんびりした町並みが車窓を流れていく。「でも、それにしても、のんびりにもほどがあるんじゃないか?」そうなのだ。地下鉄は恐ろしいほどにスピードがのろい。これで本当に30分で着くんだろうか? 路線図を見る限り、まだ三分の一くらいしか進んでないのに20分は経っているぞ。と心配がピークに達したとたん、車掌がなにやらスピーカーでがなり立て、駅のスタッフがばらばらと車内に乗りこんで来て、「全員、降りろ」と指示を出すではないか。日常ではない空気が走る。かといってテロでは無さそうだけれど。
それにしても、まだ市内までの半分も駒を進めてないというこの状況で、はてさて、この後、いったいどういうことになりますことか。
次回、8月17日(金)更新予定 どうぞお楽しみに!
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【キーワード】
『東京タワー』

2007/6/29〜7/26
沢山のご来場まことにありがとうございました!
ロンドン日記
G2が過去2回ロンドンへ旅行した際にも旅行記を書いております。
→G2のロンドン日記
→G2のロンドン日記/苦闘編
ミュージカル『シカゴ』
ロンドン日記/苦闘編、最終日に観劇。しかしあまり印象は良くなかった??
字幕が中国語
補足すると、ユナイテッドでは同じ映画に日本語と韓国語の吹替えチャンネルが用意してあります。が、字幕はすべて中国語のみ。すなわち、「映画はネイティブ&日本語字幕」ってひとにはキビしい?
ANA
全日空のこと。日本の航空会社です。
JAL
日本航空のこと。やはり日本の航空会社です。
キャビン・アテンダント
いわゆるスチュワーデスのこと。最近は男女ひっくるめて「Cabin Attndant(客室乗務員の意)」と呼称する風潮に。
ちなみに、世界ではじめて客室乗務員を導入したのがユナイテッド航空で1930年の出来事だそうです。
オヘア国際空港
元はダグラス社輸送機の製造工場用の飛行場として1942年に建設。1949年、第二次世界大戦のエース、エドワード”ブッチ”オヘアを記念してオヘア空港と名付けられた。
CTA
シカゴ交通局(Chicago Transit Authorityの略)市内の地下鉄・高架鉄道・路線バスを管理している。
左の写真、地下鉄マークの下のほうに表示があります。
ブルーライン
正確には地下鉄そのものではなく、路線を示す名称。
オヘア空港とダウンタウンを繋ぐ路線をブルーラインと言います。
他に、レッドライン、ブラウンライン、グリーンラインなど路線にはすべて色の名前がついていて、シカゴ周辺で機能。
ちなみに、空港から地下鉄でシカゴ市内へ出るだけなら、1ドル75セント。
シカゴ美術館
ニューヨークのメトロポリタン美術館、ボストンのボストン美術館とともにアメリカの三大美術館のひとつに数えられる。
1879年の設立から200年以上の歴史を誇り、世界の美術品を広く収蔵。特にフランス印象派と、20世紀アメリカ美術の作品が充実している。
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